2022年5月8日日曜日

飽和潜水

 スキューバダイビングをしていると、「飽和潜水」という単語は講習で習うと思います。


水圧が加わった状態で、圧縮空気を吸うとヘンリーの法則で血液に沢山の気体が溶け込みます。圧力が下がる溶け込んだ気体が、再び泡となって血液中に出てきます。

浮上するときに、浮上速度をコントロールしているのはこの気体が泡として析出しないように、肺から自然に排出される速さで浮上するためです。血液中に発生した泡は、毛細血管を詰まらせたり、骨髄細胞にダメージを与えたりと健康被害を起こします。

血液中に溶ける気体の量は、圧力と時間に影響を受けます。そのため大深度で長時間潜水すると、浮上速度を守っても気体の排出が終わらないことがあり、「減圧停止」をする必要が出ます。

通常のレジャーダイビングではここまでで終了なのですが、100m以上の潜水をした場合は、肝臓や脂肪などの組織に捉えられている気体の排出が、通常の浮上では終わらない場合があります。このまま1気圧に戻れば、潜水病になってしまいます。

100m以上の深度の潜水の場合、体液中に発生する空気の泡だけではなく、体内に溶け込んだ気体によって、酒に酔った状態になる問題もあります。一つの例としては、自分を基準に頭の方向に海面があるのか、足の方向に海面があるのかわからなくなります。まさかという感じですが、「どちらが海面かわからなくなったら、空気の泡がどちらに向かうかを確認する。」とテキストに書いてあるくらいです。また呼吸をするだけで体温が奪われていきます。そのため、加減圧ができるチャンバーに入って、圧力に体をならし、浮上後も減圧を続けるようにします。


スキューバダイビングをしない人は、ダイバーズウオッチの200m潜水防水等を見て、空気さえあれば何処までも潜水できる気がするかもしれませんが、物理の法則は甘くないのです。


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